トランプ大統領は8月4日、石油大手が「儲けすぎている」と批判し、「消費者向けの石油価格を下げろ! 今すぐだ!」と主張した。
シェブロンやエクソンモービルなど米石油大手が7月末に発表した第2四半期決算は、イラン戦争による原油高騰を背景に、いずれも過去数年で最高を記録した。その一方で米国では7月末、ガソリン価格が約1カ月ぶりに1ガロンあたり4ドル代に上昇した。
政権支持率が下落し続けるなか、トランプはこれまでもしばしばガソリン値引きを求めてきた。
しかし石油企業に何らかの踏み込んだ措置がとられるかには疑問が大きい。
米エネルギー投資銀行PPHBの最高経営責任者ジェームズ・ウィックランド氏は英FT(フィナンシャル・タイムズ)の取材に「ガソリン価格の高止まりで石油企業は政治的な非難を浴びるが、厳しい政策措置に発展する可能性は低い」と述べた。
その理由としてシェブロンの最高財務責任者エイメル・ボナー氏はFTに、石油企業への介入は投資の収縮を招き、むしろ石油の供給拡大を阻害させかねないと語る。
もともとトランプは温暖化否定論者として大統領選挙で石油企業に支援された他、シェブロンなどの株主でもあるからだ。実際トランプは5月以降、大統領令の発布を示唆してまで小売業者に牛肉などを値引きさせたが、石油企業にこうした露骨な圧力は加えてこなかった。
そのうえ石油企業への介入は民主党の「後追い」ともみられかねない。
連邦議会では5月頃から民主党議員が石油企業に対する課税強化、原油の輸出禁止などの措置を提案してきたが、議会多数派の共和党はこれを押さえ続けてきた。その意味でもトランプが今さら方針転換するのは難しいだろう。
そのためトランプの石油企業批判は口頭のもので終わる公算が高いといえる。