日銀が9月にも利上げに踏み切るとの観測が盛り上がっています。では、日銀の利上げによって円安傾向が終わるのでしょうか。結論を先取りすると、それは難しいと考えます。ただ、一方で筆者はドル円が163円超えて円安が進行するとも予想していません。理由は主に2つで、ひとつは追加の為替介入の可能性があること、もうひとつは米金利低下によってドル安主導の円高が進むと考えているからです。
日銀の利上げが円高に結びつかないと考えるのは、ドル円と日米金利差の説明力が落ちている一方、米10年金利単独との相関が依然として強いことがあります。日米金利差は2025年以降に主として円金利上昇によって1%pt以上縮小したものの、これまでのところ円高方向への動きは観察されていません。このことは、日本の金利上昇が為替動向に重要な変化をもたらさなかったことを意味します。もうひとつ重要な事実として、金融政策が中立的な韓国においても通貨安に歯止めがかかっていないことがあります。円安を巡っては、日銀の緩和的な金融政策が槍玉にあげられることが多いのですが、韓国の事例を踏まえると、「日銀説」には疑問が生じます。韓国の政策金利は2.75%であり、同国の消費者物価上昇率と比較すると引き締め寄りの中立であり、実質金利(政策金利-消費者物価上昇率)はプラス圏で推移しています。これら簡潔なデータから言えることは、円もウォンも米金利の変動が主要な要素であるということです。日銀の利上げが円高要因であること自体は否定しませんが、その威力は小さいと考えるべきでしょう。9月に利上げしてもそれが直接的に円高に効くとは考えにくいものがあります。