回転寿司大手2社が、奇しくも互いが先行する市場へ乗り込もうとしている。

スシローは2026年秋、ニューヨーク・タイムズスクエアへ出店する。実は2015年にも米国へ進出したが、その後撤退。今回は約10年ぶりの再挑戦となる。一方、くら寿司は中国大陸から撤退後、2027年をめどにタイ・バンコクへ進出する。

米国では、くら寿司がすでに90店を超えて展開。逆にタイでは、スシローが38店まで拡大している。なぜ両社は、あえて競合が先行する市場へ挑むのか。2強ならではの次の成長戦略を追う。

スシローを展開するF&LCは、アジアを中心に海外事業を成長させ、2035年度には海外売上比率55%を目指す。米国では2015年の撤退後、2024年にボストンへ「杉玉」を出店。現地向けの商品開発や店舗運営の経験を積み、今度は本丸のスシローをニューヨークへ投入する。

ただ、米国は地域によって食文化や客層も異なり、攻略は容易ではない。世界有数の繁華街であるタイムズスクエアでブランド認知を広げ、その後はスシローが磨いてきたDXやデータ活用を生かす。現地のニーズをつかみ、地域に合わせた商品や店舗を展開できるかが鍵になる。

一方、くら寿司は台湾の上場子会社を通じてタイへ進出する。台湾では63店まで拡大しており、そこで蓄積した人材や店舗運営のノウハウを東南アジアへ横展開していく。

タイは日本食への関心が高く、回転寿司市場も育つ。そのタイを足掛かりに、今後、東南アジアでの展開を広げる狙いがあるとみられる。中国撤退後だけに、好調な台湾を足場とする今回の進出は、海外戦略を発展させた展開ともいえるだろう。

それぞれが蓄積したノウハウを武器に、相手が先行する市場へ挑む。「追う側」と「追われる側」が入れ替わる2強の次の一手に注目したい。