健康志向の高まりを背景にフィットネス市場が拡大する一方、事業者の倒産が過去最多ペースで増えている。帝国データバンクによると、倒産したフィットネスクラブ事業者のうち、設立10年未満が6割超を占め、パーソナルジムも6件あった。一方、矢野経済研究所によれば、2025年8月時点の全国フィットネス施設は1万3876施設で、直前1年間だけで1266施設が新たに開業した。市場が成長するなか、供給が急速に増えている。問題は、倒産の影響が経営者や従業員、取引先だけでなく、料金を前払いした会員にも及ぶことだ。
大手が参入を強め、24時間営業の低価格フィットネスジムも増加している。競争激化で入会金無料や割引キャンペーンが常態化すれば単価が下がり、人件費や光熱費、広告費の上昇も利益を圧迫する。特に資金力の乏しい新興・小規模事業者は、会員を増やしても十分な利益を確保できない悪循環に陥っている。
注意したいのが消費者への影響だ。フィットネスジムなどでは、数十回分の回数券や長期コースを前払いする契約もある。消費生活センターには、30回コースを契約したものの、10回利用した段階で店舗が突然閉鎖され、返金されないという相談例もある。事業者が破産すれば、未消化分の返金を受けられない可能性もある。消費者としては、ジムの雰囲気や契約を急がせるセールストークに流されることなく、慎重に検討することが重要だ。
人口減少時代には、需要が伸びていても、それ以上の速度で供給が増えれば淘汰は進む。事業者には安売りや出店数ではなく、地域の需要を見極め、継続利用につながるサービスと適正な価格を設計することが求められる。同時に利用者側も、高額な長期契約や一括前払いには、事業者の経営が悪化した際のリスクがあることを意識する必要がある。