北朝鮮の、日本に対する「言葉による威嚇」が激しさを増している。金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長は19日付の談話で、再軍事化する日本を「軍事的目標」と見なす認識が強まったと明言。北朝鮮軍指導部が日本の脅威を「抑止し、制圧、またはそれ以上に作っておく」ことを軍事戦略の一環と見なし始めたとし、場合によっては日本に対して核兵器を先制使用する可能性すらほのめかした。
北朝鮮は最近、連日のように対日非難を繰り返しているが、口火を切ったのはほかならぬ金正恩総書記である。
金正恩氏は6月20~22日に開かれた朝鮮労働党中央委員会第9期第2回総会拡大会議で、「米国第一主義とシオニズム、ウクライナのネオナチズムと日本軍国主義のような現代版の国粋主義が一層横行し、結託し合っている」と主張した。いま、日朝関係は良好とは言えないが、軍事衝突が予想されるような激しい摩擦も存在しない。
それがここまで踏み込んだ発言をするようになったのは、同月の習近平訪朝がきっかけになったとの指摘もある。昨年11月の高市早苗首相の台湾有事発言を受けて、中国は対日非難を激化させている。北朝鮮が何らかの打算の下、中国と歩調を合わせている可能性がある。
北朝鮮の対日非難は今に始まったことではないが、日本を「軍事的目標」とすると言ったり、核の使用までちらつかせるのは異例だ。その裏には、核武装したことによる「増長」や、ロシアに加担してウクライナ戦争に参戦したことによる「好戦性」の増大があるようにも見える。
言葉の脅し一つひとつに反応する必要はないかもしれないが、それがいずれ、実際の脅威に転じないとも限らない。今後は北朝鮮の意図や行動の見極めが、いっそう重要さを増すだろう。