漫画『みいちゃんと山田さん』のアニメ化をめぐり、知的障害者支援組織が、偏見を助長しかねないとの意見書を公表しました。アニメ化そのものに一律で反対ではなく「適切なレーティング」を求め、未成年者が気軽に視聴できる環境は望ましくないとして、地上波での放送をけん制しています。映像化を表現の自由の一環として尊重しつつ、それによって偏見が広がるリスクへの自覚を促している形です。
こうした懸念の背景には、エンタメ作品で描かれた“生々しさ”に触れることで、現実社会について分かった気になってしまう危うさがあると思われます。
基本的に表現の自由とは、どんなテーマを、どのような手法で描くかを創作者が選べる自由です。もちろん、名誉毀損など他者の権利を侵害すれば、批判や訴訟リスクを負うことになり、一定のバランスが取られています。
一方で、漫画で扱う題材が生々しい場合、それは現実のごく一部を切り取ったものだったり、脚色が加えられる可能性があります。しかし、作品に説得力があるほど「現実そのもの」だと思い込む人が現れ、偏った見方を持ったり、それを周囲に広げる恐れもあります。
さらに『みいちゃんと山田さん』では、出版元である講談社の編集部員が、人の不幸をエンタメとして楽しむかのような発言をするなど、送り手としての意識が危惧される動画も公開されていました。実際、すでに「みいちゃん」が現実社会で蔑称として使われているとの報告があるなか、より幅広い層に届くアニメ化が発表された格好です。
創作としての“生々しさ”が「現実そのものではない」と理解できる層に届け、偏見の助長などのリスクを抑えるのが「ゾーニング」という考え方です。アニメ化という表現の自由は否定せず、子どもが容易に視聴できる形態にはブレーキをかける今回の声明は、非常に穏当な姿勢だと思われます。