今週、奇しくもbotを巡る二つの問題が相次いで報じられた。一つは人気チケットや限定商品の高速・大量購入、もう一つはネット広告の不正クリックによる広告費の浪費である。いずれも以前から知られた問題だが、AIの活用によってbotは人間らしい振る舞いまで可能になり、検知は難しくなっている。高速化・自動化だけでなく「人とbotをどう見分けるか」が、ネット社会の新たな課題になりつつある。
チケット販売で最優先すべきは、botによる大量購入を公平性の観点から抑えることである。ただし、bot利用や同一人物による多重申込みを完全に見抜くのは難しく、厳格な本人確認は利用者と運営者双方の負担も大きい。そこで、先着順の「速さ」に価値を持たせず、短い受付期間を設けた抽選方式に改めることが現実的だ。識別子による申込管理に加え、同一IPからの異常な連続申込みなどを検知すれば、不正の抑制にもつながる。安価な先着方式に依存せず、運営側も公平性確保にコストを負担する段階に来ている。一方、広告の不正クリックは20年以上前から続く問題である。単純な大量アクセスから、多数の端末や接続元に分散し、人間らしい挙動を装うbotへと巧妙化してきた。さらにAIエージェントの普及で、人間以外による正当な広告閲覧も増えれば、「クリック=人の関心」という前提そのものが崩れる。クリック数だけに連動する課金から、広告経由の有効な訪問、購買や売上への寄与など、実際の成果を複数指標で評価する仕組みへ転換すべきだ。AIで成果を予測する場合も、それだけに依存せず、実績データで検証する必要がある。