法務省がNetflixの恋愛リアリティ番組『ラヴ上等』シーズン2とのタイアップを取りやめた。出演者が自身の過去について「人に火をつけた」と語った場面などをめぐり、犯罪被害者への配慮を欠いているのではないかという批判が広がったことを受けての判断である。法務省は番組を事前に確認したうえでタイアップを決定していただけに、なぜ当初は問題ないと判断したのかという疑問は残る。ただ、今回は批判を受けて自ら公式見解を示し、企画を撤回するところまで踏み込んだ。

そうなると、次に問われるのは番組制作側の対応である。この問題は、出演者が過去に何をしたのかということだけではなく、その発言を番組の中でどのように扱ったのかという編集・演出上の判断にもかかわっている。出演者の過去を「壮絶なバックグラウンド」として見せる番組の構造そのものが、結果的に重大な加害行為まで“ワルの武勇伝”として消費させる危険性を持っていたという批判については、制作側が真摯に向き合う必要がある。

しかも今回は単なるSNS上の炎上にとどまらず、国の機関である法務省がタイアップを撤回する事態にまで発展した。法務省側が「犯罪被害に遭われた方々の尊厳や心情」に言及して方針転換した以上、番組側がこれまで通り沈黙を続ければ、騒動への説明を行政側だけに担わせる形になってしまう。Netflixや制作陣として、問題となった場面をどのような意図で採用したのか、現在の批判をどう受け止めているのかを説明する段階に来ているのではないか。法務省がタイアップを中止し、出演者へのバッシングも続くこの状況でもそれができないのであれば、マスメディアとしての責任を果たしているとは言えないだろう。