いよいよ新米の収穫が本格化しますが、各地の農業協同組合(JA)などが農家に対して出荷時に支払う「概算金」を引き下げる動きが広がっています。高騰した25年産米より4割程度下落した産地もあり、店頭価格も値下がりが見込まれています。

 その一方で、市場ではいまだ25年産米の在庫が大量に残っており、すでに店頭に並んでいる今年の新米の価格が25年産米よりも安いという「逆転現象」も起こっています。

 コメの価格を左右する一つの指標となる概算金とは何なのでしょうか。なぜ概算金が必要なのでしょうか。

 概算金とは、JAなどの集荷業者が販売価格が確定する前に農家に支払う「仮渡金」のことです。出荷されたコメは、その後卸売業者などに販売され、最終的な販売額や経費が確定した段階で精算されます。そのため、概算金は農家が最終的に受け取る販売代金そのものではありません。

 ではなぜ概算金が必要なのでしょうか。農家は収穫までに種もみ、肥料、農薬、農機具などさまざまな費用を負担しています。出荷時に概算金を受け取ることで、最終精算を待たずに一定の資金を確保でき、次の作付けなどに必要な資金繰りをしやすくなります。JAなどを通じて出荷する農家にとっては、収穫後の資金繰りを支える重要な仕組みです。概算金が大きく下がれば、資金繰りや今後の生産意欲にも影響する可能性があります。

 今年は概算金の下落に加え、25年産米の在庫が多く残っていることから、新米が本格的に出回れば、店頭価格にはさらに下落圧力がかかるとみられます。消費者には朗報とも言えますが、価格が下がりすぎれば生産者の経営を圧迫し、将来的な供給不足につながり、価格がまた高騰する懸念もあります。今後は、消費者にとっての安さと、生産者が持続的に作れる価格の両立が重要になりそうです。