書店やコンビニ販売される雑誌から定期購読誌に移行していた「週刊ダイヤモンド」が紙版の発行をやめ、デジタル雑誌への完全移行を発表した。

ダイヤモンド社は無料のウェブサイトを運営して集客し、無料会員、有料会員へとコンバージョンさせるマーケティングファネルを構築し、ファーストパーティデータを活用するなど、欧米の雑誌・新聞を母体とするメディア企業と同様の戦略を採って成功してきた事業者である。紙があることによるメリットもあったと思うが、おそらく紙/デジタルの有料購読者読者の声も反映した結果の選択だろう。

一方でダイヤモンド社は、書籍については刊行点数を従来より減らし、しかし丁寧にマーケティングコストをかけて一点一転を売り伸ばす施策を採り、こちらも軌道に乗せている。事業全体をデジタルシフトしたわけではない。

書籍と雑誌ではもともと売り方、稼ぎ方が違うが、いずれの領域でも時代に合わせて冷静かつ合理的に経営判断をしていると言える。

一点あたりの部数が下がったからといって書籍の刊行点数を増やして結局認知が取れずに負のスパイラルを招くことも、ジリ貧なのに紙の雑誌だけに固執することも悪手である。その事実を認識しながらも次の手を打てない出版社は多い。そんななかで、ダイヤモンド社はひとつのロールモデルになりうる(というかもっと参考にされるべきだと個人的には思っている)。

ただ後世の人間(研究者)のことを考えると、雑誌の紙版が終了してデジタル移行するとその時代の言説・報道のアーカイブが非常に追いづらくなるという問題はある。事業者側に課すのは酷な話で、保存する側の課題だろうと言われればそれまでだが。言説・歴史の検証もジャーナリズムの仕事であり、また、経済・経営とも無縁ではないから、そこは業界全体で考える必要があるようにも思う。