米連邦議会で安全保障委員会委員を長く務めた共和党の上院議員、トム・ティリス氏が9月2日、Xでトランプ大統領にヘグセス国防長官の解任を求めた。ヘグセスがダン・ドリスコル陸軍長官を辞任に追い込んだことを「こんな無能な人材管理をみたことがない」と非難したのだ。
ティリスは今期での引退を明言していて、政権批判は11月の中間選挙目当てとはいえず、むしろ共和党にも広がる不信感の一端とみた方がよい。
その背景にはイラン戦争の膠着だけでなく、軍・国防総省の高官辞任が相次ぎ、キャリアが疑問視される人材の政治的登用の増加がある。
“I have never witnessed more inept management
きっかけはランディ・ジョージ陸軍参謀総長が辞任し、その後任にヘグセスがクリストファー・ラニーブ大将を推薦したことだった。ラニーブはヘグセスの補佐官を務めた経歴があるが、一般的な基準に照らすと軍歴やキャリアが参謀総長に見合わないため、上院で共和党議員の一部からも反対が出たのだ。
忠誠心重視の登用の一方、ヘグセスは将兵削減を進め、軍内部の手続による昇進もしばしば止めてきた。8月末にヘグセスは少将7人の昇進を認めなかったが、このうち2人は黒人、2人は女性だった。
ティリス上院議員が投稿のなかでヘグセスが「国防や我が国兵士の健康・福利にまじめに取り組む代わりに競争を敵視し、文化戦争を煽っている」と批判したのは、やみくもな多様性否定がプロフェッショナリズムを脅かすという危機感を象徴する。
今回辞任したドリスコル長官は米陸軍をコストパフォーマンス重視の体制に刷新することを掲げていた。その退任により、イラン戦争で浮き彫りになった米軍の高コスト体質の改善は先延ばしになるとみられる。