回転ずし最大手のスシローが10月、米国再進出1号店をニューヨーク・タイムズスクエア地域に開業します。
スシローを展開するF&LCは、「日本で磨いたおいしさを世界に広げる」ことを掲げ、海外売上高比率35%、海外310~320店舗を目標に海外展開を加速しています。その大きな一手が、アメリカ市場への再挑戦です。スシローは2015年にもマンハッタンへ進出しましたが、翌年に撤退。それから10年。出店場所、人材、市場環境という三つの要因から、再挑戦の先にある商機を読み解きます。
一つ目は、NYの旗艦店戦略です。日本企業は、日系人やアジア系住民が多い西海岸から米国へ入るのが一般的です。しかし、スシローはあえて高コストのニューヨークに、3フロア約170席の大型店を構えます。世界中から人が集まる場所でブランドを発信し、商品への反応を検証する狙いです。ここで勝ち筋をつかみ、将来は郊外や地方都市向けの標準店、小型店へ展開することも考えられます。
二つ目は、加藤広慎副社長の存在です。前回は2015年に持ち帰りずしなどを扱うテイクアウト中心の新業態を2店出しましたが、収益計画に見合わず2016年に撤退。回転ずしでの進出は今回が初めてです。加藤氏が執行役員に就いたのは2017年。同氏は吉野家時代から海外事業に携わり、スシローでは台湾、中国などの展開を指揮。今回はアジアで蓄積した店舗運営、人材育成、調達の基盤を持って臨みます。
三つ目は、米国ですしが日常食になったことです。くら寿司が市場を開拓したため、利用方法を一から伝える必要もありません。高価格のおまかせとスーパーのパックずしの間にある需要を、デジタル注文とレーン配膳、ノーチップを武器に取り込めるかが、再進出の成否を左右するでしょう。