中国政府は9月8日から、日本産の半導体材料「ジクロロシラン」に最大99.2%の保証金を課す暫定的な反ダンピング措置を始めました。対象には信越化学工業などが含まれます。

 半導体の国産化や地域への大型工場投資が進む日本にとって、素材分野の輸出規制や通商摩擦は企業収益だけでなく、国内投資やサプライチェーン再編にも影響し得ます。今回の措置を、地域経済と産業政策の視点から考えます。

 中国商務省は、日本産ジクロロシランにダンピングがあると暫定認定し、輸入業者に80.8~99.2%の保証金を求める措置を始めた。ジクロロシランは半導体製造の薄膜形成などに使われる特殊ガスで、日本政府は中国側に抗議し、企業への影響を精査する方針だ。

 2025年に韓国が日本を抜くまで、日本は中国にとって最大の調達元だった。2026年7月の日本からの輸入額は260万ドル(約3億9900万円)で、中国の輸入総額の約33%を占める。

 一方、日本の半導体製造装置の中国向け輸出は2024年をピークに2025年は減少したものの、中国はなお最大の輸出先だ。財務省貿易統計によると、2025年の「半導体等製造装置」の輸出総額は4兆5472億円で、中国向けは約1.9兆円と全体の42%を占めた。

 つまり日中間では、日本から中国へ製造装置や素材、中国から日本へ半導体、電子部品、原材料という相互依存関係が続いている。通商摩擦が長期化すれば、素材にとどまらず半導体や製造装置にも影響が及ぶ可能性があり、北海道、九州など各地域で工場や関連設備への大型投資による地域経済の活性化にも影響が及ぶ可能性も出てきている。