ホルムズ海峡を迂回したサウジアラビアの原油輸出を阻止しようと、イエメンの武装組織フーシはバブエルマンデル海峡一帯を制圧した。同海峡の中央部に浮かぶぺリム島の制圧は「紅海封鎖」の象徴だ。
ただし英キングス・カレッジのアンドレア・クレイグ准教授は「ぺリム島の防衛は難しい」と指摘する。約13平方キロの小さな島で、しかも平坦で身を隠す場所が少ないため、攻撃する側にとっていわゆるキルボックスにしやすいからだ。
とはいえクレイグ氏が「実際にはハイリスク」とも述べるように、フーシからぺリム島を奪還するのは困難とみられる。
フーシ派の進撃に米サウジは動くか、介入なければ地域安定や国際海運に影響も
第一次世界大戦中、英軍駐留のぺリム島攻略を目指すオスマン帝国軍がイエメン側のシェイフ・サイードの丘から砲撃し、一時は主導権を握ったが、沖合に英海軍の艦艇が展開して戦況は膠着した。
この史実に照らすと、ぺリム島に最も近いシェイフ・サイード一帯はまだフーシに制圧されておらず、さらにサウジアラビアはフーシより海上展開能力が高い。これらはぺリム島奪還に有利な条件といえる。
それでも米リスク管理会社バシャ・レポートのモハンマド・アル・バシャ氏はアルジャズィーラの取材に、イエメン政府やサウジアラビアが簡単には動けないと見通しを語った。同様の指摘は多く、主に3つの理由があげられる。
第一に、集中的な空爆などでぺリム島のフーシを殲滅できても、それはサウジアラビア本土へのさらなる報復を招きかねない。フーシは2010年代末からドローンを駆使してきた「実績」がある。
第二に、この海域でのサウジアラビアの本格的軍事活動は原油価格をさらに高騰させ得る。
そして第三に、フーシとの全面衝突はその背後のイランとの対立を決定的にするため、イランつなぎ止めを優先してきたサウジアラビアの外交方針が崩れる。