阪神の優勝マジックに注目が集まっている。チームは7連敗中にもかかわらず2位・巨人も敗れたことでマジックは14に減った。勝っていないのに、なぜ優勝へ近づくのか。さらに勝利数では巨人が阪神を上回りながら、勝率では阪神が首位という状況も、ファンには分かりにくい。マジックはチームの勢いや強さを表す数字ではない。対象チームが残り試合で到達できる上限と、自軍が優勝を確定させるための条件を示す数字である。混戦終盤だからこそ、その仕組みを改めて整理しておきたい。

優勝マジックは「あと何勝すれば優勝」という数字ではあるのだが、単純にそうとも言い切れない。正確には対象チームが残り試合で到達できる勝率の上限を、自軍が上回るために必要な条件を示す数字である。だから阪神が負けても、対象となる巨人も負ければ巨人の到達できる最高勝率が下がり、マジックは減る。

ここがファンにとって最も分かりにくい。チーム状態だけを見れば阪神は苦しい。連敗中なら「マジックどころではない」と感じるのが自然だ。しかし、マジックは感情ではなく計算で動く。阪神が勝てなくても、巨人も勝てなければ、優勝争いの数学的な残り条件は少しずつ阪神に近づく。

勝利数では巨人が上でも、勝率で阪神が首位という状況も起きる。消化試合数、敗戦数、引き分け数が違うためだ。ゲーム差は感覚的な順位差を示す一方、最終順位は勝率で決まる。場合によっては2位でもマジック対象が複雑に見える、という現象が起きる。

マジックは安心材料にはならない。数字が減っても、勝負の流れが良いとは限らない。逆に、負けてもマジックが消えないのは、他球団も同じように勝ち切れていないからである。マジックとは、優勝へのムードではなく、残り試合をめぐる冷徹な計算表なのだ。