人口減少が進み、空き家や空き地の増加が問題となる地方で、意外な「土地不足」が起きています。企業が工場などを建設するための産業用地です。青森県弘前市でも既存の産業用地が完売し、新たに約80ヘクタールの用地整備が検討されています。なぜ人口が減っている地方で産業用地が足りないのでしょうか。そして人手不足が深刻化する中、従来型の工場誘致を続けるべきなのか。人口減少時代の企業誘致のあり方が問われています。

 人口が減っているのに、なぜ地方で工場を建てる土地が足りないのでしょうか。経産省によると、企業からの立地に関する問い合わせが増えている都道府県・政令市が多い一方、企業ニーズに対応できる産業団地は不足しています。

 背景には、この20年ほど、製造業の国内投資が低迷し、自治体が売れ残りを警戒して新たな造成に慎重だったことがあります。ところが近年、経済安全保障やサプライチェーンの見直しなどから国内投資が活発になり、用地供給が追いつかなくなっています。

 弘前市でも弘前オフィス・アルカディア周辺エリアに約80ヘクタールの産業用地を整備する方針を明らかにしました。ただ、人口減少地域では、企業を誘致しても「誰が働くのか」という問題が残ります。

 SNSなどでは、従来型の工場誘致ではなく、地元の大学や高専などと連携した研究開発型企業やスタートアップの集積を目指すべきだとの意見もあります。実際、弘前大学は企業との共同研究や大学発ベンチャーの創出、起業支援を進めています。

 これからは、省人化や研究開発、人材育成、地元企業との連携まで含め、「地域にどのような産業を育てるのか」から逆算した産業用地政策が必要となっています。