財政難の兵庫県に35キロ、時価約8億3400万円の金の延べ棒が匿名で寄付されたとして話題となっています。2月に寄付の申し出があり、9月8日に県が寄付者から受け取ったとのことで、県は売却して地域振興に活用する方針です。ただ、自治体への高額な現物寄付にはクリアしなければならない法的な問題が多く、すぐに換金して自由に使えるというわけではありません。その仕組みについて解説します。
県の財務規則では、寄付を受け入れる場合、寄付者から寄付申出書を徴することとされています。寄付の申し出から受領まで約7か月を要していることから、寄付者本人の素性や所有権の帰属、盗品ではないといった事実の確認をすでに経ているとみられます。匿名といっても、寄付者が誰か県が把握していないという意味ではありません。
ただ、県は直ちに金を売却したり、その資金を自由に使えたりするわけではありません。売却代金は県の歳入として扱われ、予算に基づいて執行する必要があります。地域振興に使ってほしいという寄付者の希望も、単なる要望なのか、特定の使途を条件とする負担付き寄付なのかで法的な扱いが変わります。後者であれば、議会の議決が必要となる場合があります。
寄付者側の税務も重要です。金地金は譲渡所得の対象となる資産ですが、自治体への寄付の場合、要件を満たせば非課税となるし、一定の限度額の範囲で所得税や住民税の控除対象にもなります。ただし、税務署には寄付者が自らの身元を明かし、正式な手続を経なければなりません。
巨額の寄付だからこそ、より一層、受領から売却、予算化、使途まで、適法性と透明性の確保が求められるわけです。