漫才コンビ「中田カウス・ボタン」の中田ボタンさんが9月14日に78歳で亡くなった。1960年代から上方漫才の第一線で活躍し、カウスとのコンビでは上方漫才大賞を3度受賞。Tシャツにジーンズという当時としては異例のスタイルで舞台に立ち、「アイドル漫才師」として人気を集めた人物でもあった。
ボタンさんの芸人としての大きさを物語るのが、ダウンタウン・浜田雅功とのエピソードである。浜田は若手時代、自分のツッコミの技術を磨くために、ツッコミの名手であるボタンさんの漫才を舞台袖から見続けていたという。
浜田と言えば、現代のお笑いにおける「ツッコミ」のイメージそのものを体現しているレジェンド的な存在である。その浜田が若手時代に見本として凝視していた人物がボタンさんだったという事実だけでも、ボタンさんの技術がいかに高い水準にあったのかがわかる。
さらに、その影響はダウンタウンだけにとどまらない。サンドウィッチマンの伊達みきおもボタンさんのツッコミを研究しており、彼が漫才の最後に言う「もういいぜ!」は、ボタンさんの「もうええわ!」に影響を受けたものだと明かしている。つまりボタンさんは、自らがスター漫才師として一時代を築いただけでなく、日本のお笑いを代表する芸人たちに、ツッコミという技術を受け渡した人物でもあったのだ。
晩年には舞台を中心に活動しており、テレビで大きく取り上げられるような機会は少なくなっていたが、その芸は確実に後世に残った。ボタンさんが舞台袖の若者たちに見せていた技術は、その後の日本のお笑いの中で形を変えながら生き続けているのだ。