ロシア・ウクライナ戦争は、戦線自体は膠着し、お互いに後方への空爆を激化させるという展開となっている。

それによるインフラ破壊、燃料・エネルギー供給の危機、民間人の被害などは、日本でも報道されることが多い。他方、ここに来て、深刻の度合いを増しているのが、戦争の余波で、港湾および船舶が攻撃され黒海海運が麻痺し、ロシア・ウクライナ双方からの食料、鉄鋼・鉄鉱石の輸出が滞っていることである。

ロシアのラヴロフ外相とドイツのワーデフール外相は9月26日、ニューヨークで開かれた国連総会の機会を捉え、外相会談を開催した。この席でワーデフール外相は、黒海経由の穀物輸出に関する合意に向​け可能な限り努力をするようロシア側に求めている。国際的にはどうしても停戦に向けたやり取りが注目されるが、実はこのレベルでも取り上げられるほど、黒海海運麻痺によるロシア・ウクライナからの食料輸出の停滞は深刻化しているわけである。

ウクライナ側は、穀物・植物油の輸出を、全面的にオデーサ港を中心とした黒海の港から積み出している。また、ロシア側も、穀倉地帯が南部に広がっており、積出港はかなり黒海・アゾフ海に集中している。そして、両国ともに、食料の主要輸出先はトルコ、中近東、北アフリカなどである。これが滞れば、特に低所得国では、食糧事情が悪化する恐れがある。

そして、ロシア・ウクライナにとっての基幹産業の一つである鉄鋼業・鉄鉱石の分野でも、黒海海運への依存度は大きい。ウクライナ側は、工場自体が攻撃を受け生産が停止していることもあり、8月の銑鉄輸出はついにゼロとなった。