奈良県内の2025年延べ宿泊者数が360万人となり、調査開始以来の最多を更新した。奈良市でも宿泊客が初めて220万人を超え、観光消費の経済波及効果は1556億円に達した。観光の成果を県内各地の宿泊業、飲食店、交通事業者へ広げ、今後も持続させられるかが問われている。増えた宿泊客を地域全体の売上と雇用に変える仕組みも必要だ。
「通過型」から「滞在型」へと変化しているという最近の奈良観光の変化を、最近の報道から見てみよう。
奈良県が7月23日に公表した2025年の宿泊統計によると、県内の延べ宿泊者数は前年比9.3%増の360万人、外国人延べ宿泊者数は38.7%増の71万人で、高い伸びを示した。奈良市でも観光客数は1608.2万人、宿泊客数は初めて220万人を突破。外国人宿泊者数は56.9万人となり、観光消費による経済波及効果は前年比17.9%増の1556億円だった。
奈良観光の弱点は、京都や大阪からの日帰り客が多く、宿泊や夜間の飲食に結び付きにくいことだった。宿泊が増えれば、旅館やホテルだけでなく、飲食、小売、タクシー、食材納入、清掃など地域の中小企業に波及する。
ただし、増加分が奈良市中心部に集中すれば、県南部や東部には恩恵が届きにくい。人手不足の宿泊施設では、需要が増えても客室を十分に販売できない可能性もある。観光客の急増が住民生活に与える影響にも注意が必要だ。
4月に「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」が開業。大和郡山市には大河ドラマ「豊臣兄弟!」の大河ドラマ館も開館し、さらに「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録も決まった。奈良県に追い風が吹く中、これらをどう生かしていくのか、今後が注目される。