2026年の夏ドラマは「数年に一度の大豊作」と言われている。では数字はどうか。7月期の民放連ドラで世帯視聴率が二桁に届いたのは『VIVANT』第2シーズンと『大空港~GATE24~』だけ。『告白-25年目の秘密-』は5.3%から4.6%へ、『GTO』は6.4%から4.8%へ落ちている。視聴率で豊作を裏づけることはできない。それでも作品が充実しているのは確かで、根拠は別の部分にある。かつて夏は在宅率が下がり、特番で放送も飛ぶ、力を入れない時期とされてきた。その前提が崩れたことと、いまの豊作はつながっている。

豊作の根拠は視聴率ではない。二つある。ひとつは配信の数字だ。『VIVANT』は全番組の単一エピソードで歴代最高の786万回、『Tシャツが乾くまで』はTBS金曜ドラマ枠の記録を3週連続で更新した。もうひとつは企画の顔ぶれである。

そもそも夏ドラマが弱いといわれてきたのは、作品ではなく在宅率の問題だった。視聴率は在宅率に左右され、外出が増える夏は下がる。加えて大型のスポーツ中継や特番で放送が飛び、連ドラの前提である「毎週同じ時間」が守れない。夏に力を入れないのは合理的だった。

しかし、配信がこの不利を消した。放送が飛んでも翌週まとめて見られる。初回10.7%の『大空港~GATE24~』は、地上波の翌日からNetflixで国内配信され、海外にも広がる。1本の回収がクールをまたぐ以上、夏に安く作る理由がない。

数字の下限を守る必要が薄れた。その『大空港』に原作はなく、脚本は『半沢直樹』『ノーサイド・ゲーム』の丑尾健太郎による完全オリジナルだ。『Tシャツが乾くまで』も生方美久がTBSで初めて書いた完全オリジナルで、蒼井優が18年ぶりの主演。原作もシリーズも持たない企画が夏に並ぶようになった。これが豊作の実体である。