大手企業の2026年夏のボーナス平均妥結結果が前年比7.04%増の104万2537円と、比較可能な1981年以降で最高だった。前年を上回るのは5年連続。人手不足が深刻な建設は、全業種で初の200万円超えとなった。
しかし、これは経済ピラミッドの頂点に立つ上場企業や大企業の限られた世界を切り取ったものにすぎず、この華やかな数字の裏側に広がるのが「分配の歪み」と「重層的な格差」だ。
大手ゼネコンが空前の利益を上げる一方で、その下請け、孫請けとなる中小・零細企業には、労務費や資材高騰分の価格転嫁が十分に浸透していないケースが少なくない。現場から聞こえてくるのは、価格添加できない不条理と、汗を流す職人や施工管理スタッフに課される、厳しい工期とコストカットのプレッシャーである。所属する企業の規模やサプライチェーン上の位置によって、生活基盤の安定度に圧倒的な開きが生じている。さらに、ボーナスは基本給がベースとなるため会社規模に加え、男女格差の大きさも問題だ。
今の日本社会のしくみは、1970年代高度経済成長期の「社会のカタチ」、すなわち「正社員」「夫婦と子ども2人」「ピラミッド型の人口構成」といった昭和期のカタチを前提としている。90年代を境に「雇用のカタチ」「家族のカタチ」「人口構成のカタチ」はすべて変わり、非正規雇用は4割になり、1女性の労働力率は78%に達し北欧並みになったにも関わらずだ。
大手メディアは、200万円超え、5年連続で前年水準を上回る、などといった「景気が良い」表層的なニュースとして消費するのではなく、分配の公正さと「昭和モデル前提の社会構造の歪み」こそ報道すべきだろう。