約300年の歴史「佐原の大祭」に存続危機ー山車人形の「顔」と町民を救った人形修復師 #つなぐ伝統
「年間20万円の身銭を切らなきゃ、文化遺産は消えてしまう」。千葉県香取市佐原の本宿地区・上仲町(かみなかちょう)。わずか36世帯の小さなコミュニティーだが、約300年の伝統を誇り、全国33件の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の一つとして2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された「佐原の大祭」を支えてきた。だが、過疎化や少子高齢化の波に襲われ、この春、大きな転機を迎えた。30年にわたり祭りの現場で傷ついてきた「太田道灌(おおたどうかん)」の山車(だし)人形が、修復時期を迎えたのだ。住民たちは、ただでさえ年間300万円に上る祭りの維持運営費を背負ってきた。加えて高額な修理費を負担できるのか。負担に見合うだけの仕上がりになるのか。そんな思いで揺れ動くなか、住民たちが相談を持ちかけた文化財修復技師・和久田優子(わくた・ゆうこ)さん(62)が示したのは、これまでにないある提案だった。