日本のアニメを世界へ。そう掲げた官民ファンドのクールジャパン機構が、累積赤字540億円を抱えて廃止に向かっています。政府の出資は1400億円あまり。出資先はテーマパークや小売店にも広がっていました。まだ廃止が決まったわけではなく、経済産業省の検討会が年内に結論を出す段階です。決まる前に確かめておきたいことがあります。この13年でアニメ制作市場は初めて4000億円を超えました。それでも作画の入口である動画工程の平均年収は、227.5万円にとどまります。この金は、どこへ行ったのでしょうか。
日本のアニメの多くは製作委員会方式で作られます。作品の権利を持つのは出資した企業で、二次利用の収益もそこへ分配される。制作会社が出資していなければ、作品が売れても戻りません。帝国データバンクの調査では、2025年の1社あたり平均売上高は元請・グロス請が27億9500万円、下請の専門スタジオは4億9900万円でした。
作り手のなかでも、アニメーターは外側です。JAniCAの2026年調査によると、制作者全体の平均年収は444.6万円。ところが作画の入口の動画工程は227.5万円で、回答者の平均年齢は27.0歳です。制作会社の売上が伸びても、ここに反映される仕組みはありません。
支援の対象と、産業の弱点はずれていました。機構が用意したのは回収を前提にした出資で、株式を持てる会社や施設にしか入りません。文化庁の基金が支えるのは、教育機関や企業の育成プログラムです。人を増やす費用であって、いま描いている人の手取りには関係しません。
映像分野に最も近かったジャパンコンテンツファクトリーは、支援作品名を公表しないまま解散しました。検討会の結論はまだ出ていません。廃止の前になぜ支援が現場に届かなかったのかを確かめるべきです。