かつて五輪や世界選手権でメダルを獲得してきた日本の男子4×100mリレー。昨年の東京世界陸上は6位入賞したものの、メダルに届かなかった。愛知・名古屋アジア大会では金メダルを期待されたが、決勝ではバトンパスがスムーズにいかない場面もあり、優勝した中国に0.40秒の大差で敗れた。今大会から日本のお家芸だった「アンダーハンドパス」ではなく、「オーバーハンドパス」を採用。それでも結果を残すことができなかった。日本のリレーは弱体化したのか。世界の頂点を目指すうえで、バトンパスとともに注目したいのが個々の走力だ。

 日本は長年、失敗が少なく走りやすい「アンダーハンドパス」を武器にしてきたが、今大会から「オーバーハンドパス」を採用した。後者はバトンを渡す際の「利得距離」を稼ぎやすいメリットがある。今回のアジア大会ではバトンパスがスムーズにいかなかったが、世界大会の金メダルを目指すなら、オーバーハンドに挑戦する価値はあるだろう。どちらを選択するにしても、継続して精度を高めることが重要だ。

 それ以上に気になるのが、個々の100mの走力だ。今大会、日本の多田修平と小池祐貴はともに準決勝で敗退。一方、4×100mリレーで優勝した中国は100mで6位と7位、3位の韓国は4位と5位に入った。4位のタイには9秒90をマークしたブーンソンという大エースがいる。

 日本が世界の頂点を目指すなら、バトンパスの精度だけでなく、個々の走力をさらに引き上げる必要があるだろう。4人全員が世界大会の100mで準決勝以上に進める走力を備え、そのうえで〝世界一〟のバトンパスを成功させる。それくらいの総合力がなければ、世界大会の金メダルを獲得するのは難しいのではないだろうか。