政府は8月4日、2026年版防衛白書を閣議決定した。今年版で最も目を引くのは、中国軍の艦艇数やミサイル戦力といった「能力」だけでなく、第一列島線を越えて西太平洋へ活動範囲を広げる動きに焦点を当てた点だ。中国海軍の空母「遼寧」と「山東」の太平洋での活動を詳しく紹介し、中露軍事協力や台湾周辺での軍事演習とあわせ、中国軍の活動範囲の拡大に対する日本政府の警戒感を色濃く反映した内容となっている。

防衛白書は、中国を引き続き「これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置付けた。その上で、中国軍が東シナ海や日本海に加え、第一列島線を越えた西太平洋で活動を活発化させていることを詳しく分析している。

新たな図表では、中国海軍の空母「遼寧」と「山東」の太平洋での活動や、長距離の海空作戦などを紹介。中国軍が遠距離で統合作戦を継続する能力を高めていることへの警戒感を示した。白書は、こうした活動が戦闘能力の向上だけでなく、活動海域での「既成事実化」を図る狙いもあると分析している。

また、中国とロシアの軍事協力や、ロシアと北朝鮮の軍事協力に関する記述も充実させた。さらに、ロシアによるウクライナ侵略や中東での紛争を踏まえ、「新しい戦い方」の章を新設。無人機や人工知能(AI)、継戦能力の重要性を強調するとともに、防衛生産・技術基盤についても独立した「部」として扱い、防衛産業を支える基盤強化の必要性を打ち出している。