千葉県柏市の病院で入院患者の点滴チューブに排せつ物を混入し、敗血症による多臓器不全で死亡させたとして、看護師として勤務していた女が殺人の容疑で起訴されました。「混入していない」などと容疑を否認しているといいます。これまでに判明した事実と、裁判の焦点を整理します。
混入の場面が記録された防犯カメラ映像はなく、目撃者もおらず、直接的な証拠はありません。裁判では、これまで明らかになっている次のような事実を状況証拠として積み重ね、犯人に間違いないと立証できるかどうかが焦点となります。
● 事件前にスマホで「便注入、死ぬか」と検索
● その後、容態急変直前である午前3時55分頃に病室に入り、約1分後に退室する姿が防犯カメラに記録
● 事件後、茶色く濁った点滴チューブを滅菌カップごと持ち去り、別のチューブとすり替え
● 看護服に付着していた排せつ物から細菌が検出され、被害者の血液や滅菌カップから検出された細菌の遺伝子情報と一致
● 事件前におむつ替えなどをめぐって被害者とトラブルがあり、被害者が担当変更を要望
ただ、動機や犯行の引き金、なぜ証拠が残りやすい殺害方法を選んだのか、短時間でどのように混入したのかなど、未解明の謎も残ります。「完全犯罪」の検索履歴など状況証拠を積み重ねた「紀州のドン・ファン」事件では、一審・控訴審で無罪判決が出ました。医療現場の不審死事件でも無罪例が散見されるところであり、裁判の推移が注目されます。