かつて駅前の居酒屋需要を支えたのが、「和民」「笑笑」「甘太郎」などの総合居酒屋だった。

1990年代後半から2000年代にかけて、ワタミ、モンテローザ、コロワイドは「居酒屋新御三家」と呼ばれ、一時代を築いた。ただ現在、コロワイドはM&Aを重ね、焼肉、寿司、定食などへ事業を拡大。ワタミも焼肉や宅食、SUBWAYなどへ主戦場を広げている。

一方、今も居酒屋を事業の中心に据える企業がある。「はなの舞」のチムニー、「庄や」の大庄、「天狗」のテンアライドだ。総合居酒屋が苦戦する中、3社はどこへ向かっているのだろうか。

(1)業態の多様化で増収増益をつかむ「チムニー」
「はなの舞」「さかなや道場」を核としつつ、海鮮特化の「魚星」、大衆食堂・酒場の「安べゑ」、焼肉「牛星」などへと業態を分散。専門性を求めるニーズを細かく拾い上げた結果、2027年3月期第1四半期は増収増益を果たした。

(2)手づくりと職人の原点回帰で規模を保つ「大庄」
「大庄水産」「満天酒場」などを並行展開しつつ、フラッグシップの「庄や」では板前による手づくり料理や日本酒の質を磨き直し、酒場文化としての価値を再構築している。2026年8月期第3四半期は減益となったものの、3社中トップの事業規模を維持する。

(3)「てんぐ大ホール」を軸に転換を進める「テンアライド」
「天狗」から大衆酒場・食堂業態の「神田屋」「てんぐ大ホール」へ大胆にシフト。「てんぐ大ホール」は40店まで拡大し、ファミリーや昼利用も取り込む大衆路線へ軸足を移した。ただ、2027年3月期第1四半期は赤字となり、モデル転換の過渡期にある。

チムニーは専門店化、大庄は原点回帰、テンアライドは大衆食堂化と、異なる答えを出している3社。その現在地からは、総合居酒屋の先にある新たな居酒屋の在り方が見えてくる。