Nadia登録ユーザーを対象とする調査では、小学生のいる家庭の52.9%が自由研究を負担に感じていました。ベネッセの別調査でも、自由研究・工作は親子双方にとって最も大変な宿題となり、保護者の9割超が何らかの形で関わっています。一方、文部科学省の検討資料は、探究を興味・関心や問題意識から始まる試行錯誤の過程として整理しています。夏休みの終盤、「自由研究の自由」は誰のものかを考えます。

二つの調査は対象も設問も異なり、数値は単純に比較できません。それでも、自由研究が家庭の支援を前提とした課題になっている様子は共通して見えます。

負担を生むのは、子どもに探究する力がないからとは限りません。「自由」と言いながら、立派なテーマ、見栄えのよい成果物、期限内の完成という暗黙の「正解」があり、家庭が先回りして評価されるように補っている側面があります。家庭ごとに使える時間や材料、相談相手の知識や専門性の違いが、成果物の見た目の差として現れやすい点にも注意が必要です。

文部科学省は、探究を、興味・関心や問題意識を起点に、教科の学びを活用しながら試行錯誤し、新たな価値をつくる過程として整理しています。また、学習者の裁量が広いほど学びが深まるわけではなく、教師の適切な指導も必要だとしています。

大人の役割は、テーマや結論を決めたり体裁を整えることではなく、知識や方法を手渡し、次の一歩を一緒に考えるナビゲーションでしょう。完成品だけでなく、「なぜ選んだか」「何を試し、どこで失敗し、どう考え直したか」を見ながら伴走する。途中の記録も成果と認めれば、自由研究は親の宿題ではなく、子どもの問いを支える学びに戻せるはずです。