宮古島市で今年3~8月、野良犬にヤギが襲われる被害が相次ぎ、農家への聞き取りでは約60頭に上り、その多くが死にました。
市内で飼育されるヤギの約7%に相当し、例年ほとんどない異例の被害です。最大15匹とみられる野良犬の群れが確認され、人が襲われる危険も懸念されています。市や県などは、わなの設置や飼い犬を最後まで飼う意識の啓発など、野良犬を減らす対策を進める方針です。
宮古島では、今も一部で犬の放し飼いが残り、首輪をつけたまま野良化して群れをつくる犬もいると聞きました。地域によって犬との暮らし方や文化が異なることは理解できます。
しかし、今回のように野良犬が群れとなり、ヤギ約60頭が襲われ、その多くが死亡している現状は、単なる「地域の問題」として片づけることはできません。
獣医師として心配なのは、家畜への被害だけではありません。犬が群れで行動することで、人、とくに子どもが襲われる危険も高まります。また、野良犬の増加は、咬傷事故だけでなく、人獣共通感染症などの問題にもつながります。
今回の記事とは直接関係ありませんが、米国では、ふれあい動物園の子ヤギが狂犬病に感染し、接触した人への注意喚起が行われました。日本では現在、狂犬病の発生はありませんが、海外では今なお重要な感染症です。動物との距離が近くなるほど、感染症への備えも必要になります。
犬を放し飼いにせず、最後まで責任を持って飼うこと。そして、すでに野良化した犬については、行政、地域、獣医師、動物愛護団体などが連携して対応することです。
人と動物の双方にとってよりよい解決策を考えることが必要だと思います。