串カツ田中は9月10日から、「無限ハイボール」を110円(税込、以下同)で新設し、「チンチロリンドリンク」の対象商品も319円に値下げする。しかも期間限定ではなく、通常価格として継続する。

これまで居酒屋は、粗利率の高いアルコールで利益を確保するモデルが定石だった。しかし、近年は低価格の酒を集客装置として使い、料理や体験価値、再来店で収益を積み上げる業態が増えている。串カツ田中の価格改定は、その流れが大手チェーンにも広がってきた象徴といえる。

近年、Z世代に人気の「居酒屋第4世代」と呼ばれる新興業態では、100円台の酒は珍しくない。「鶏ヤロー!」ではレモンサワー55円、「新時代」ではハイボール165円で提供する店舗がある。串カツ田中の110円ハイボールは、こうした新興居酒屋が先行してきた価格帯に、大手チェーンが本格的に踏み込んだ動きといえる。

串カツ田中は、もともとチンチロリンなど、ゲーム感覚で安く酒を楽しめる仕掛けを持つ。それでも今回、「無限ハイボール」を110円、サワー・酎ハイを319円とし、期間限定ではなく通常価格として展開する。ここに居酒屋の収益モデルの変化が表れている。

従来の居酒屋は、粗利率の高いアルコールで利益を確保する考え方が強かった。一方、第4世代は低価格を来店のきっかけにし、料理の追加注文や店内での体験、再来店につなげる。

串カツ田中も、串カツという看板商品に加え、「無限串」などの商品提案力、チンチロリンの体験性、ファミリー客や地域のリピーターと、酒以外の集客装置を持つ。酒をここまで安くできるのは、価格以外にも来店理由をつくれているからだ。

こうした価格戦略が新機軸となれば、居酒屋は新たな競争のフェーズに入っていくだろう。