きっかけは兵役担当者が路上で兵役逃れとみなした男性をバスなどに強制的に押し込んで軍の施設に連れて行く手法(バシフィケーション)の横行にある。

兵役担当者が暴行を加えたり、兵役免除者まで強制連行するといった事案が増えるにつれ、市民の不信感が高まっているのだ。

その結果、逆に兵役担当官が襲撃される事案も増えている。2月には中部ポルタヴァで兵役担当官が銃殺される事件まで発生した。

この問題の背景には深刻な兵員不足がある。戦死者だけでなく兵役逃れも増えているからだ。

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戦闘の長期化により、ロシアより少ないとはいえウクライナ兵の死者も12万人以上にのぼるといわれる。

その一方で今年1月、同国のフェドロフ国防相(当時)は兵役登録義務違反者が200万人、許可なく離隊した兵員が20万人以上と明らかにした。ウクライナでは現在18〜60歳の男性に兵役登録義務が、25〜60歳の男性に応召義務がそれぞれある。

ただし兵役逃れや兵役担当官への襲撃が増える一因には、徴兵制そのものへの不信感がある。虚偽の診断書の作成や兵役担当官の買収といった汚職が数多く報告されているからだ。アルジャズィーラによると、違法に入手したとみられる障がい者認定が2024年だけで4106件取り消された。

持病などで兵役を免除されていたにもかかわらず、バスで連行され、暴行まで受けた(後に入院)男性は英BBCに「ロシアのプロパガンダは、こういう話を積極的に取り上げる。しかし、こうした問題が実際に起きていることも確かだ」と語った。

先進国ではウクライナのネガティブな報道が控えられやすいが、同国での徴兵をめぐる対立は戦争に直面した国で起こりがちな社会の分断の一つの典型といえる。